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私が医師になった理由

社会人経験を経て、
医師を志すまで

出身は道後温泉で有名な四国の愛媛県松山市です。
ほとんどの医師は年少の頃から医師を目指して勉強し、高校卒業後に大学の医学部に入学し医師となります。しかし、私は高校卒業後にストレートで医学部に進学し医師となったわけでは無く、薬学部卒業後に社会人経験を経て再受験で医学部に入り直して医師となりました。

高校卒業後、薬学部を卒業し、社会人となるまでは特に医師になりたいと考えたことはありませんでした。大学進学時は、化学が好きという理由で薬学部を選択しました。
当時の薬学部は今と異なり6年制ではなく4年制だったため、4年間で薬に関する様々な知識を習得しなければならず忙しい日々を過ごしました。薬を作る実験や動物に薬を投与すると体にどのような反応が起こるかなどを調べる実験などが数多くあり、実験レポートの作成や数々の試験で大変ながらも楽しく充実した日々を過ごしました。

薬学部卒業後の進路には、病院や薬局で薬剤師として勤務する以外にも製薬会社で新薬開発の仕事をしたり営業をする仕事などがあります。私は「実験が好きだったこと」や「新薬を開発し患者さんの治療に間接的に貢献したい」と思っていたことから薬剤師として働くのでは無く、新薬開発をする仕事に就く道を選択しました。
このため薬学部卒業時に薬剤師免許を取得しましたが、薬剤師としては働かず大学院に進学しました。大学院では抗がん剤の吸収・分布・代謝・排泄に関する薬物動態学の基礎研究を2年間行いました。

製薬会社への勤務と、
医学部への再受験の決意

大学院修了後は国内の製薬会社に入社し、新薬開発に関わる業務に約3年間従事しました。新薬を開発するには薬や化学に関する知識だけで無く、ターゲットとしている病気自体に関する勉強も必要です。これらの知識に関して勉強したり、実際に治療をしている医師の意見を伺ったりしていく中で間接的に治療に関わるのでは無く、医師として直接患者さんの治療に関わりたいという想いが強くなり、医学部への再受験を決意しました。
とはいえ、いきなり仕事を辞めて無職の状態で受験をする勇気もなく、金銭的な余裕もなかったため、当初は仕事を辞めずに働きながら受験勉強を開始しました。しかし、当時の医学部は難易度が高く、実際に受験勉強を開始すると、ただでさえ受験勉強にブランクがある状況で仕事も両立させて合格するのは難しいと思うようになりました。仕事自体には全く不満が無く、むしろやり甲斐のある楽しい仕事であったため、その生活を投げ捨ててまで医師になることを目指すべきか毎日毎日自問自答を繰り返す日々でした。

家族や知人の猛反対を押し切り
1年間という期限付きで医学部受験をスタート

家族や友人にも相談しましたが、相談した全ての人から猛反対されました。今、当時を振り返ってみても周りの人達の意見の方がもっともな意見だったと思います。しかし、当時の私は医師になりたいという思いと一度しかない人生を自分の思うように後悔なく過ごしたいという思いが強く、周りの反対を押し切り退職後に一年間という期間限定で受験に専念する道を選択しました。金銭的に予備校に通う余裕がなかったため、図書館の自習室や自宅で市販の参考書を使って独学で勉強をしました。毎日毎日、他人と接することもなく、ただひたすら勉強・食事・睡眠を繰り返す孤独で単調な日々に正直何度も挫けそうになりました。独学では他の受験生と比べた自分の相対的な学力が分からないため、時折、模擬試験を受けて自分の学力の確認を行いました。私は周りの受験生と10歳程度の年齢差があったため、模擬試験の会場では明らかに1人浮いていました。自意識過剰ではなく、他の受験生から常に好奇の目を向けられていたため、模擬試験を受けることは非常にストレスでした。模擬試験では試験の合間に志望校や年齢・名前・住所などの個人情報を記入して提出する時間がありますが、ある模擬試験では隣の席に座っていた女子高生が私の記載した志望校と年齢などを見たらしく、昼休憩の時間に複数の友人を連れてきては私の方を指さしながら「医学部目指して10年近く浪人しているバカがいるよ。ホント、キモい」と繰り返し言われました。このときは医学部再受験を決めたことを死ぬほど後悔し、その後はしばらく全く勉強が手につかない状況が続きました。

周りの方の支えもあり、
無事に鹿児島大学医学部へ合格!

しかし、口では反対しながらも陰ながら応援してくれた家族や友人達の存在が支えとなり、「医師になるという決断は自分自身で決めたことだ。他人にどう思われても関係ない。これは一生を賭けて臨んだ自分との戦いだ。」と思い直し、逆にそれまで以上に勉強に打ち込みました。この経験から逆境に打ち勝つ強い精神力を得ることが出来ただけでなく、支えてくれる家族や友人達の存在の有難さを再認識することが出来ました。
寝食以外の全ての時間を勉強に費やした結果、鹿児島大学医学部に合格することが出来ました。このような私の入学を受け入れてくれた鹿児島大学には本当に感謝しています。
入学前は模擬試験の時の辛い経験から年齢差のある若い同級生達と上手くやっていけるか一抹の不安もありましたが、実際に入学するとそれらは全て杞憂に終わりました。私以外にも再受験生がいたというのもありましたが、何よりも現役の若い同級生や先輩達が実年齢などほぼ気にしておらず、年齢ではなく、学年で接してくれたのには本当に救われました。また、医学部生だけでなく、鹿児島は全体的に穏やかで優しい人が多く、非常に過ごしやすい街でした。このお陰で二度目の学生生活は忙しいながらも大変楽しく過ごすことができました。
こうして二度目の学生生活を満喫しながら6年間で無事医学部を卒業し、医師国家試験にも合格し、晴れて念願の医師になることができました。他の大学に入学していても同じ状況であったかどうかは分かりませんが、鹿児島大学に入学できて本当に良かったと思っています。

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