こんにちは。鹿児島中央駅西口消化器内科・胃大腸内視鏡クリニックの院長の細川です。
当院では日々、大腸内視鏡検査(大腸カメラ)を数多く実施しています。
その中でポリープが見つかった場合は、小さなものであっても、その場で切除しています。
検査後、「ポリープがありましたが、切除していますよ」とお伝えすると、患者さんの多くが安心されますが、同時にこういった質問もよくいただきます。
「今後、大腸がんを防ぐためにはどうすればいいですか?」
この質問は本当に良く受ける質問なので、前回に続いて今回も大腸がんの“なりやすさ”に関係するリスク因子についてお話しします。
🧬 大腸がんのリスク因子とは?
大腸がんは突然現れるものではありません。背景には複数のリスク因子が重なっていることが多く、主に次の4つに分けられます。
- 年齢
- 性別
- 遺伝的な体質(家族歴など)
- 生活習慣や食事などの環境要因
今回はこの中から、年齢と性別の2つのリスクについてご説明します。残りの2つについては次回お話したいと思います。
① 年齢と大腸がん
年齢を重ねると細胞の再生能力や免疫力が徐々に衰えていきます。
私たちの体は、日々古くなった細胞が新しく生まれ変わる仕組みを持っていますが、加齢によって遺伝子に小さなダメージが積み重なり、異常な細胞(がん細胞)が生まれやすくなります。
若い頃は、がん細胞ができても免疫細胞(ナチュラルキラー細胞やT細胞など)がしっかり働いて排除してくれますが、年齢とともにその働きが弱くなり、生まれてしまった異常な細胞が排除しきれずに発がんに至るケースが増えていきます。
② 性別による違いはあるの?
実は、大腸がんは男女ともに非常に多いがんです。
2023年の統計では、がんによる死亡数の多い部位は、
- 男性:1位 肺がん、2位 大腸がん、3位 胃がん
- 女性:1位 大腸がん、2位 肺がん、3位 膵臓がん
男女ともに大腸がんは死亡原因として上位に位置しています。
また、がんの罹患数(発症した人数)で見ても、
- 男性:1位 前立腺がん、2位 大腸がん、3位 胃がん
- 女性:1位 乳がん、2位 大腸がん、3位 肺がん
→ 男女問わず、大腸がんは“もっとも身近ながん”といえます。
💡「女性の方が大腸がんに多い」は本当?統計データの読み解き方
大腸がんに関する統計を見て、「女性の方が死亡数も罹患数も上位」というデータに驚かれた方もいらっしゃるかもしれません。
ところが、実際のところ、大腸がんそのものにかかりやすいのは男性の方が多いことが、これまでの多くの研究で明らかになっています。
ではなぜ、統計上では女性の方が大腸がんの割合が高く見えるのでしょうか?
その理由は、これらのデータが「すべてのがん患者の中で大腸がんが占める割合」や「がんによる死亡原因の中で大腸がんがどの位置にあるか」といった相対的な順位を示しているからです。
つまり、「女性が他のがんよりも大腸がんにかかりやすく、大腸がんで亡くなる割合が高い」という意味であり、「女性の方が男性と比べて大腸がんそのものにかかりやすく、亡くなりやすい」ということではないのです。
実際、2018年の統計では、日本全体のがんによる死亡者数は男性が約21万9千人、女性が約15万3千人と、男性の方ががんにかかるリスクそのものが高いことが分かっています。
男性は大腸がんを含め、さまざまな種類のがんに罹患しやすいため、大腸がんの占める割合が相対的に低く見えるのです。
結論をまとめると、
🔸「女性は大腸がんの占める割合が高い」
🔹「大腸がん患者の総数は男性が多い」
ということになります。
結論
統計の見方によっては「女性は大腸がんが多い」と感じるかもしれませんが、実際の罹患者数では男性の方が多いのが現実です。
つまり、正しくは「女性にとって大腸がんは最も死亡率の高い疾患のひとつである一方で、大腸がんそのものにかかる患者数は男性の方が多い」ということになります。
🩺 大腸癌は男女問わず誰にでもリスクはある。だからこそ、定期的な検査を
私たちが一番伝えたいことは、男女問わず、40歳を過ぎたら一度は大腸内視鏡検査を受けてほしいということです。
定期検査をしていれば、ポリープのうちに見つけて切除し、大腸がんを未然に防ぐことができます。
🏥 忙しいあなたにも受けやすい環境を
当院は、鹿児島市のターミナル駅である鹿児島中央駅西口に直結したAMU WE内に位置しており、JR・市電・バスなどの多くの交通手段でアクセスが可能です。
また、アミュプラザ鹿児島の駐車場もご利用いただけます。
通勤・通学途中やお買い物の合間などにも立ち寄りやすい、利便性の高い立地です。
検査は鎮静剤を使って苦痛に配慮して行っており、多くの方が「こんなに楽だと思わなかった」と驚かれます。
時間の取りづらい方でも、年に一度、自分の健康のための1日をつくってみませんか?
次回以降で、大腸がんの残る2つのリスク因子「遺伝的要因」「環境要因(食生活・運動・嗜好など)」についてお話ししたいと思います。
お読みいただきありがとうございました。
監修:鹿児島中央駅西口消化器内科・胃大腸内視鏡クリニック 院長 細川 泰三