こんにちは。鹿児島中央駅西口消化器内科・胃大腸内視鏡クリニックの院長の細川です。
前回のブログでは、大腸がんのリスクとして「年齢」や「性別」に注目しましたが、今回は“遺伝的な要因”についてお話しします。
「がんは年配の人の病気」と思われがちですが、家族歴や遺伝が関係している場合は若い世代でも注意が必要です。
🧬 遺伝が関係する大腸がんリスクとは?
大腸がんの発症に関わる遺伝性疾患はいくつかあります。その中でも代表的な4つをご紹介します。
① 家族性大腸腺腫症(FAP)
がんを抑える役割のある「APC遺伝子」に異常があることで起こる遺伝性疾患です。
- 60%程度に大腸がんや大腸ポリープの家族歴があります。
- ポリープは10歳ごろから出現し始め、20代で多発する傾向があります。
- 放置すると、40代で約半数が大腸がんに進行するとされ、最終的にはほぼ全員ががん化するとも言われています。
もしご家族にFAPと診断された方がいる場合は、20歳ごろから定期的な大腸カメラが必要です。
② リンチ症候群(遺伝性非ポリポーシス大腸がん)
DNAの修復に関わる遺伝子に異常があることで、がんが起きやすくなる遺伝性疾患です。
- 大腸がん全体のうち2〜5%はこの疾患に関連していると考えられています。
- 生涯で大腸がんを発症する割合は80%程度と言われています。
- 大腸がんのほか、子宮内膜がん・胃がん・膵臓がん・卵巣がん・胆道がん・尿管がん・腎盂がんなどが併発するリスクも高くなります。
- 50歳未満で大腸がんを発症した方や、ご家族に同様のがん歴がある方は要注意です。
こうした背景がある方は、胃カメラと大腸カメラの定期検査を欠かさないことが大切です。
③ Peutz-Jeghers症候群
- 小腸や大腸、胃といった消化管に過誤腫性ポリープが多発する先天性疾患です。
- 唇や口の中、手足に黒い色素斑ができるのが特徴です。
- ポリープ自体は良性のことが多いですが、膵臓がん、乳がん、胃がん、大腸がん、小腸がん、卵巣がん、子宮がんなどのリスクが高くなることが知られています。
※過誤腫性ポリープとは、受精卵から体の細胞が形作られる胎生期に組織の形成異常で生じる腫瘍の様に見えるが腫瘍ではない奇形の一種です。
身体的には口唇や口腔内、手足に色素沈着を認めるのが特徴なので見た目の変化がヒントになることもあります。
該当する症状がある方は、早めの相談と検査をおすすめします。
④ 若年性ポリポーシス症候群
- 若いうち(多くは20歳前後)に大きなポリープを複数認めることが多い遺伝性疾患です。
- 家族歴がなく、突然現れるケースもあるのが特徴です。
- 出血や貧血で検査を受けた際に発見されることもあります。
- ポリープの多くは良性ですが、一部はがん化する可能性があり、特に大腸がんのリスクが高いと報告されています。
このような背景がある方は、年齢に関係なく定期的な内視鏡検査が重要になります。
📌 遺伝性疾患があっても、早期発見・早期対応で守れる命があります
「若いからまだ大丈夫」「症状がないから平気」と思わず、以下のような項目に当てはまる方は、一度専門医にご相談ください。
- ご家族に大腸がんや消化器がんを患った方がいる
- 血便や便通異常、貧血などの気になる症状がある
- 若年でポリープやがんを指摘されたことがある
🏥 当院の内視鏡検査は「苦痛に配慮」+「アクセス便利」
当クリニックは、鹿児島市のターミナル駅である鹿児島中央駅西口直結のAMU WE内にあり、JR・市電・バスでのアクセスがしやすく、アミュプラザの駐車場も利用可能です。
検査は、鎮静剤を使いウトウトした状態で行うため「思っていたより楽だった」と好評です。
🌿 健康を守る第一歩は、「知ること」と「行動すること」
がんは早期に見つかれば、命を守ることができる病気です。
忙しい毎日の中でも、年に一度、ご自身のために“検査の日”をつくってみませんか?
気になることがあれば、どうぞお気軽に当院へご相談ください。
監修:鹿児島中央駅西口消化器内科・胃大腸内視鏡クリニック 院長 細川 泰三